FEIT は、創業者でありデザイナーである TULL PRICE (タル・プライス)⾃⾝が 90 年代の消費社会の熱狂に⾝を置く中で⽣まれた疑問とそれに対する回答(アンチテーゼ)として2004 年にスタートしたブランド。
アッパーに⼀枚⾰を使⽤しハンドソーン・ウエルト製法で作られたスニーカーの⾵貌をした⾰靴は当時の常識を覆し、多くの後発のデザイナーに多⼤な影響を与え勇気付けました。
原料である⾰の鞣、ソールに⽤いる⾰やラバー、コルク、染⾊⽅法、そして⼈の⼿による製造、製品が完成するまでの全ての⼯程で、⾃⾝が考える持続可能性に重きを置くことは、クリエイションにおける制約であると同時にブランドの社会へのスタンスを明確に⽰しています。
FEIT のクリエイションは、PRODUCT の material(素材)と process(⽣産⼯程)に⼤きな 2つの特徴を持っています。material (素材) は、イタリアとイギリスの上質なベジタブル・タンニングレザーを厳選して使⽤しており、process (⽣産⼯程) においては職⼈による⼿作業によるモノづくりを徹底しています。
本日ご紹介いたしますのは、FEITのWinterized Lugged Runner。
FEIT
Winterized Lugged Runner
Color : Black
トレイルシューズをベースに現代的にアレンジされたデザインのLugged Runnerのブリザードプルーフバージョン。ボリュームのあるスニーカーのような見た目からは想像しにくいですが、こちらはハンドソーングッドイヤーウェルト製法を用いたフルハンドでつくられており、アッパーには上質な一枚革のスエードを使用。ビスポークの高級紳士靴の説明だと思ってしまいそうですが、FEITの靴はほとんどがこの特徴を持っています。
随所にあるナチュラルカラーのステッチ部分や、ウェルトとアウトソールを縫う出し縫いも、もちろんハンドソーン。機械ではできない太番手の糸を使用することで、よりクラフト感が際立って見えますね。アッパーの下半分は厚みあるゴムランドで補強され、雨風に強く、傷のつきやすい部分を守ってくれます。
細かなところですがヒールリフト部分にはアッパーと同じスエードが巻かれていて、見た目の良さだけではなく、耐久性も⤴。ソルト&ペッパーのような斑な表情のアウトソールは、ビブラム社と共同開発した軽量化とグリップ力の強化が図られたFEITオリジナルソール。
レザーとコルクのインソールが付属し、足のむくみや、履いている靴下の厚みに応じてサイズを調整できます。また紐も、ナチュラルカラーのコットン、ブラックのレザーの2種類付属するので、その日のスタイルや気分で変えてみてもいいですね。
FEITのシューズは、熟練した職人が1人で1足を縫い上げる生産方法をとっています。このモデルの生産数は60足。作った職人の名前も箱に記されていますが、その名から察しがつくように中国の香港で作られています。英国文化が色濃く残る場所だからこそ、高いクオリティの靴が作れるのかもしれません。また生産背景を香港にすることで、コストダウンしプライスに反映させています。
今でこそサスティナブルという言葉を耳にすることが多くなりましたが、FEITは2004年のブランド設立当初からこの考えのもとモノづくりをしています。今回ご紹介したモデルの素材は、アッパーはベジタブルタンニンのカウスエード、補強のラバーランドは天然ゴム、ミッドソールは天然コルク、シャンクには竹、アウトソールはリサイクルラバー、ステッチは松脂が塗られた綿糸が使用されています。また、その作りからリペアやオールソール交換も可能ですので、捨てることなく長く履き続けることができます。プライスも含め持続可能性に重きを置くデザイナーの考えが窺えますね。
カジュアルなデザインに加えて、ハイキングシューズ程度の機能も持ちますので、気軽にスニーカーの感覚で履いていただけたらと思います。
ぜひ、お試しにいらしてください。
キヨハラ