革に漆を施す「漆皮」
古代から伝わる技法を、独自の感性で再解釈し、新たな表現を生み出したDaisuke Motoike。
日本の伝統的な「履物」
靴ではない日本の履物をテーマに、洋装にも和装にも属さない新たな履物を提案している履物関づか。
その両者が出会い、掛け合わさることで、これまでにない特別な「漆皮の履物」が誕生しました。
『本池大介さんの作品に初めて触れた場所は、コロナ禍の東京で開催された展覧会でした。
会場に着くや否や挨拶も早々に、所狭しと並べられた見慣れない質感の革製品について本池さんにお尋ねすると、革に漆を施す漆皮(しっぴ)という、奈良時代の正倉院御物(しょうそういんぎょぶつ)に遺物が見られるほど古来から伝わる技法を用いて制作した作品との事で、その複雑な色漆の重なりにすっかり魅了された私は、衝動的に茶筒形の鞄を買約していました。
展覧会も終わり、届いた鞄を手に取り、その美しさを再確認している時に、この歴史ある漆皮という技法を、日本の伝統的な履物に応用出来ないかとふと思い立ち、善は急げと旧知の「履物関づか」関塚真司君に連絡を取りました。
後日、東大駒場キャンパスの裏手にある本池さんのアトリエを関塚君と共にお訪ねして、持参した「履物関づか」の製品を挟んで協業をお願いしたところ、「いくつか技術的に心配な点はあるが、やってみましょう!」と心強いご返事をいただき、このプロジェクトが始まりました。
作品との出会いから4年近い月日が流れ、本池さん、関塚君共に多忙を極める中で、牛の歩みも千里のごとく着実にプロジェクトは進行し、晴れてこの度 kink chikaramachi lab. に於いて発表の時を迎える事が出来ました。』
kink 安田
安田の発案で出会うこととなったお二人に、今回の共作について少しだけお話を伺いました。
本池大介氏 (taupe D. Motoike / Daisuke Motoike)
・依頼を受けたときの率直なお気持ちをお聞かせください。
『galerie aの秋吉さんから安田さんの骨董や現代アートに関する見識などをお聞きしていましたので、「あっ、来たな」と感じました。』
・これまで他の方と共作をされることはなかったそうですが、今回、関づかさんとの制作に取り組もうと思われたのはなぜでしょうか。
『履物においての革と漆の関係性に以前より興味がありましたので関塚さんとの出会いには運命的なモノを感じ、共に作品作りを始めました。』
・技術的に心配だった点はどのようなことですか。
『革と漆が身体(足)と触れ続け、歩くことを目的とした物作りとなること。』
・漆を革に施す制作工程について教えていただけますか。また、一足を仕上げるのにどのくらいの時間がかかったのでしょうか。
『革に漆を塗り、固まった後、砥石などで磨きます。この工程を6回ほど繰り返します。塗りの時期が夏場であったため漆が乾きづらく、相当な時間を要しあまり思い出したくないですが一足3週間ほど手をかけていました。』
・履物の台や花緒といった立体的な部分に漆を重ねる際、どのような点を意識されましたか。
『漆を塗り重ね、磨くことによる時間の経過と現れる美しい模様、そしてこれから履いてもらう事によって新たな時間の始まりを意識しました。』
関塚真司氏 (履物関づか)
・依頼を受けたときの率直なお気持ちをお聞かせください。
『漆皮を使った履物がとても素晴らしいものになることがすぐに想像出来ました。』
・本池さんの「漆皮」という素材や表現について、感じられたことを教えてください。
『作品と製品の間のようなものを感じました。まさに用美の世界だと思います。』
・漆皮を履物にするにあたって、最適な素材や形を決めるのに意識したことはありますか。
『素材や形については、あまり深く意識しすぎることはありませんでした。』
かたちになるまで長い時間を要しましたが、まるで必然であったかのような素晴らしい作品が生まれたと思います。
独自表現の漆皮を纏った履物は、用の美だけではなく、わびさびといった日本古来の静かな美しさが滲み出ているような印象も受けます。
こちらは花緒と台を自由に組み合わせていただくことができますので、心の赴くままにお選びいただき、この特別な履物の新たな時間の歩みをはじめていただければ幸いです。
9/12(金)-14(土)の3日間、「履物関づか 展示受注会」と「taupe D. Motoike / Daisuke Motoike Order Exhibition」が同時開催となります。
ご覧になるだけでもお楽しみいただけるイベントかと思いますので、ぜひお気軽にご来店くださいませ。
キヨハラ





