大量生産された工業的な洋服は、なんだか愛せないし、かといってハンドメイド作品のような洋服は、人の匂いが強すぎてファッションとしていいと思えるものが意外と少ない気がします。
A MACHINEの洋服は、そのどちらにも属さない中途半端な存在だと彼らは言いますが、僕にとってはそのバランス感がとても心地いいんです。

SOCRATES PARADOX HOODIE
Color : Navy
Price : ¥85,800 (tax inc.)
今回ご紹介するパーカーも、まさにそんな一着。
一見すると、ごく普通のジップアップパーカーですが、実はなかなか普通ではありません。

通常のパーカーであれば、生地幅に対して1.5mもあれば十分に作れるところ、このパーカーにはなんと約6mもの生地を使用しています。
まずはその生地で巨大なパーカーを作り、そこから縮絨加工を施すことで、半分以下のサイズにまで縮めているそうです。

こういった非効率な技法は、当然ながら大量生産の洋服には向いていません。
生地を余分に使い、縮めることを前提に服を作る。合理性だけで考えれば、わざわざそんなことをする必要はないはずです。
ただ、そのひと手間によって生まれる独特の風合いや、均一ではない表情には、やはり人の手を介して作られたものならではの温かみを感じます。
そういうところに、僕は愛着が湧くんだと思います。

とはいえ、人の手がかかりすぎている洋服は、ときにファッションとしてノイズになることもあると考えています。
作り手の個性や制作の痕跡が洋服そのものよりも前に出てしまい、服を着るというより、作品を身に纏っているような感覚になることがあります。
そういう洋服ももちろん面白いのですが、僕の場合、なんだか大事に取っておきたくなってしまうというか、着ることに少し躊躇してしまうんですよね。
その点、このパーカーは絶妙です。

手間のかかる工程を経ていることは十分に伝わってくるのに、それが過剰な主張になっていない。あくまで洋服として自然に成立していて、毎日でも気兼ねなく袖を通せそうな気軽さがあります。
このあたりが、A MACHINEの面白さなのだと思います。
せっかく手間をかけて作られたものだからと大事にしまっておくよりも、むしろ何も考えずにガシガシ着て、洗って、また着る。
そうやって日常の中で使い続けることで、少しずつ自分のものになっていく。
このパーカーも、そんな付き合い方が似合う一着だと思います。
シバタ